絵本

2005年12月16日 〜2006 6月
むかしむかしあるところに、なまえのないかいぶつがいました。
かいぶつは、なまえがほしくてほしくてしかたありませんでした。
そこでかいぶつはたびにでて、なまえをさがすことにしました。
でもせかいはひろいので、かいぶつはふたつにわかれてたびにでました。

いっぴきはひがしへ、もういっぴきはにしへ。

ひがしへいったかいぶつは、むらをみつけました。
「かじやのおじさん、ぼくにあなたのなまえをください」
「なまえなんて、あげあれるものか」
「なまえをくれたら、おれいにおじさんのなかにはいって、ちからをつよくしてあげるよ」
「ほんとうか、ちからがつよくなるなら、なまえをあげよう」
かいぶつはかじやのなかにはいっていきました。

かいぶつはかじやのオットーになりました。
オットーはむらいちばんのちからもち。でも、あるひ、
「ぼくをみてぼくをみて、ぼくのなかのかいぶつがこんなにおおきくなったよ」
バリバリグシャグシャバキバキゴクン。
おなかのすいたかいぶつは、オットーをなかからたべてしまいました。

かいぶつは、また、なまえのないかいぶつにぎゃくもどり。
くつやのハンスのなかにはいっても、
バリバリグシャグシャバキバキゴクン。
また、なまえのないかいぶつにぎゃくもどり。
かりうどのトマスのなかにはいっても、
バリバリグシャグシャバキバキゴクン。
やっぱり、なまえのないかいぶつにぎゃくもどり。

かいぶつは、おしろのなかにすてきななまえをさがしにいきました。
「きみのなまえをぼくにくれたら、つよくしてあげるよ」
「びょうきがなおってつよくなるなら、なまえをあげる」
かいぶつはおとこのこのなかにはいりました。
おとこのこは、とてもげんきになりました。
おおさまはおおよろこび。
「おうじがげんきになった。おうじがげんきになった」

かいぶつは、男のこのなまえがきにいりました。
おしろのくらしもきにいりました。
だから、おなかがすいてもがまんしてました。
まいにちまいにち、おなかがぺこぺこでもがまんしました。
でもあまりにおなかがすいてしまったので、
「ぼくをみてぼくをみて、ぼくのなかのかいぶつがこんなにおおきくなったよ」
おとこのこは、おおさまもけらいもみんなたべてしまいました。
バリバリグシャグシャバキバキゴクン。

あるひおとこのこは、にしへいったかいぶつにであいました。
「なまえがついたよ。すてきななまえなんだ」
にしへいったかいぶつはいいました。
「なまえなんていらないわ。なまえなんてなくてもしあわせよ」
「わたしたちはなまえのないかいぶつですもの」
おとこのこは、にしへいったたいぶつをたべてしまいました。

せっかくなまえがついたのに、だれもなまえをよんでくれるひとはいなくなりました。
ヨハン、すてきななまえなのに。



アニメ「MONSTER」から抜粋してみました。

「なまえのないかいぶつ」という絵本として原作の中で紹介されていますが、この年になって読む絵本というのは一種の怖さを感じる。

執拗なまでのひらがな使用、リアルな擬音語、かいぶつという抽象表現。


この「MONSTER」という作品、それもこの絵本を通して思うのが、絵本による人格矯正の恐ろしさ。

絵本を読んでいたあの頃でこそ、こんなことを思うハズもないのだが、知らず知らずのうちに人格矯正を強いられていたのかもしれない。


こんなことを最近考えていたのだが、今日になって、子どもの頃に読んでいた絵本の内容がフラッシュバックしてきた。

たしか、・・いや絶対に、主人公の名前は「まさや」だった。

体が大きいわりに泣き虫で弱虫で・・・。

絵本のわりには文章の多いものだったが、不思議とその内容は正確に思い出された。

昨日の夕飯の内容でさえ覚えていないのに・・・。


今はあの絵本どこにあるんだろう??

3時間くらいかかってもいい、その絵本をもう1度読んでみたい。

たかが絵本だが、絵本ごときで昔の記憶が蘇ってくるような気がするのだ。



幼稚園の頃、とても大人が嫌いだった。

離婚にいたるまで両親の冷戦は続き、それは5歳の俺でもはっきりとわかった。

周りの大人たちは、優しすぎる口調で俺をなだめた。

親が離婚したときにも「つらかったね」といろんな人に言われた。

大人は俺が1人でいることを許してくれなかった。

でも、本当は、1人でいることがかわいそうに思えたのではない。

1人でいることを許容する行為が周りにどうみられているか気にしているだけだったのだ。

俺の背が家のブロック塀よりも低かった頃に感じていた、大人に対する数々の疑問が最近になって解消されていく。

全て「しょうがない」ことなのだと。。

同時に、俺はその疑問そのものを忘れようとしている。

あんな大人にはなりたくないと思っていた、少し反抗的な気持ちを。

だからこそ、いまさらであるが、その記憶をもう1度。。



○勉強(12月15日分)
【数学】冬休み課題
【物理】電磁気(キルヒホッフ則)

順調かな。。

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